「価値の保存」の4段階レベルからビットコインを考える
TOMTA(トムタ)です。
以前ALISの記事にも書いた内容ですが、このブログにも載せます。
ビットコインに関しての議論でよく「価値の保存」ってワードを聞きますよね。
「ビットコインはデジタルゴールド」とか、「ビットコインは価値の保存機能に適している」という話題で議論がなされていて非常に面白いです。
まず、基本として「通貨」の3つの機能は、
①交換手段、②価値の尺度、③価値の保存
です。
ここでよく①と③のどっちが重要かという議論が巻き起こっていますが、この記事ではとりあえず置いておきます。
ここからが本題です。
「価値の保存」には4段階の要求レベルがあることを学びましたので、紹介します。
<価値の保存の4段階要求レベル>
「価値の目減り」
「名目価値100%保存」
「実質価値100%保存」
「価値を増やしながら保存」
1.価値の目減り覚悟
例えば、重さで価値が決まる硬貨があったとして、削れていったら価値は目減りします。これは価値の保存としては最低レベルです。
だから、価値が目減りしないように保存が利くコメや、金銀銅といった金属が歴史的に使われるようになったようです。
2.名目価値100%保存
「一万円札」は一万円の価値を保つことができます。
「一万円札」は少し破けたからといって、価値が9990円にならないという意味です。
しかし、名目価値100%ということはインフレに弱いということを意味しています。
3.実質価値100%保存
物価が5%上昇した時に、通貨の価値も5%上昇する仕組みがあれば、実質価値100%の価値が保たれているということです。
(※2で、紙幣などの現金はインフレに弱いという表現としてしまいましたが、物価が上昇すると預金金利も上昇するという原則はあるようです。ただ、現在は原則通りになっていませんし、将来も成立するのか疑問視しています。)
4.価値を増やしながら保存
インフレの状況下でも実質価値100%以上を目指すということです。
以下、この4段階の「価値の保存」要求レベルを知った時に気づいたことです。
・ビットコインを「ボラティリティ(変動率)が高いから価値の保存には向かない!」と主張する人は、3の実質100%つまり「価値を増やしも減らしもしないこと」を「価値の保存」と解釈しているのではないか。
・ビットコイン投資家は、4の「インフレ下でも価値を増やすこと」、具体的には、「法定通貨の価値の下落を想定し、長い目で見て価値を増やすこと」を「価値の保存」と考えているのではないか。
⇒「価値の保存」論争は、そもそもの定義や前提の違いが原因で噛み合っていないのではないかと思った次第です。
私個人としては、ビットコインに国や政府の管理下に置かれない「非中央集権の無国籍通貨」としての価値を感じるようになりました。
法定通貨の仕組みに対して疑問を持った人達が、ビットコインに「価値の保存」を求めているのだと考えています。
まとめです。
・「価値の保存」にも4つのレベルがある
・ビットコインに「価値の保存」を求める投資家は、法定通貨の仕組みを信用していない人が多いのではないか
価値の保蔵の要求レベルに関する内容はブルーバックスの『暗号が通貨になる「ビットコイン」のからくり』という本で書かれておりました。
2014年の本ですが、通貨全般に関する書籍として非常に良書だと思います。
今度改めて記事にできたらと考えています。