30歳からブロックチェーンを勉強するブログ

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ゴールドの価格決定要因とビットコイン

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TOMTA(トムタ)です。

 

中央銀行が終わる日 -ビットコインと通貨の未来-』(新潮選書)という本を読みました。著者は早稲田大学大学院の岩村充教授です。

先日のhashhubカンファレンスにもスピーカーとして出ていた方ですね。比較的早い段階からビットコインについての論文を書かれていた有名な教授のようです。

 

表紙の雰囲気から硬い文章を覚悟していましたが、かなり理解しやすい言い回しをしてくれているので、思っていたよりも読みやすい本でした。

 

 

本書のなかで、ゴールドの価格についての記述がありましたので触れたいと思います。

 

 

◆ゴールドの基礎知識

 

本書に書かれている内容ではありませんが、ゴールドの基礎知識を整理します。

 

まず、ゴールドの希少性についてです。 

 

地球上で採掘可能なゴールドの総量は21万トン程度で、既に約17万トンは採掘済みだそうです。この量はオリンピックプール3杯分です。年間では3000トン採掘されています。

 

 そもそもなぜ総量が決まっているかというと、ゴールドは地球上の物質ではないからです。ゴールドは39億年前の隕石群が地球にもたらした産物だそうです。

 

歴史上、錬金術に挑戦した人はたくさんいるそうですが失敗に終わったそうです。そのため、ゴールドの希少性は保たれて続けてきました。

(※現代では理論上は可能のようですが、莫大の時間と費用がかかるようです)

 

 

次に、ゴールドの主な用途を分類してみます。

 

・宝飾品

・電気の良導体としての工業用途

・富の象徴(資産)

 

上の2つは実需、最後は投資用需要といえます。

何で見たか忘れてしまいましたが、宝飾が50%、工業用が10%、投資用が30%、その他10%程度だったと記憶しています。

 

 

◆ゴールドの価格決定要因

 

ここからが本書の内容です。

 

金に高い値が付くのは、それが美しく光りネックレスや指輪に使えるからではありません。(中略)それを地下から取り出して精製するのに膨大な費用がかかるからです。

 

金の価格は、その金を掘り出して使えるようにするためにどれほどの対価が必要かということと、そうした対価を払って手に入れた後の値動きをどう読むか、その二つにかかっているわけです。

 

 

僕はゴールドの価格が高いのは、地球上の総量が決まっていて希少性があるために需要が大きいからだと単純に思っていました。

そして、採掘と精製に膨大なコストがかかっているとはあまり考えていませんでした。

 

 

ゴールドの価格が上昇するならば、コストをかけて採掘して利益を出そうとします。(流通量は増える=希少性は薄れる)

ゴールドの価格が下落して原価割れするのであれば採掘をストップします。(流通量は減る=希少性は増す)

 

こうしてゴールドも需要と供給で価格が決まるという市場原理が働いています。

 

 

ゴールドの大事な点を整理します。

 

・採掘と精製に膨大なコストがかかっている

・価格には需給の市場原理が働いている

 

このことから、採掘と精製の膨大なコストは価格の下支えになっていると言えるのではないかと思います。

 

 

ビットコインの価値と価格

 

ビットコインは、このゴールドの市場原理に倣って考え出されたものです。

 

マイナーもビットコインの価格が上がるならマイニングに参入し、原価割れするならばマイニングから撤退するということになります。

そのため、マイナーの損益分岐点となる価格が市場で意識されています。

 

 

ビットコインがゴールドと違う点は、供給量(供給ペース)が初めから決定されていることです。

約4年ごとの半減期があり、マイニング報酬が50BTC→25BTC→12.5BTC→6.25BTCと供給量が減少していく設計になっています。

 

 

ナカモトサトシのホワイトペーパーには「インフレなき通貨」を目指すと書かれていたのに供給量を固定する設計になっており、ビットコインの価格が上がるようにわざとデザインされた不自然なシステム」だと岩村教授は言っています。

 

供給量が固定されることで価格の変動が激しくなるため、ビットコインが「貨幣」にはなっても「通貨」になりえない要因になっているということです。

 

やはり貨幣の専門家であるため、貨幣や通貨という視点で見るのは当然かと思います。

 

 

僕個人的には、ナカモトサトシは中央銀行法定通貨のシステムに疑問を抱いていたから、アンチテーゼとしてビットコインを作ったのではないかという説が一番しっくりきます。

価格が安定した「通貨」を作ることが一番の目的でないのであれば、あの設計は納得ができます。

 

ただ「ビットコインは通貨であるか否か」問題はもはやどうでもよくて、通貨ではない新しいアセットという捉え方でよいと思っています。

 

 

あと2年した2020年にはマイニング報酬6.25BTCになる半減期を迎えます。

そして、これから機関投資家の参入により需要が増すことが予想されています。

 

供給が減り、需要が増すという状況であれば、価格は上がるはずです。(当然もっと複雑な要因があるはずですが)

 

 

 

ビットコインの価値と価格について整理します。

 

ビットコインは、

・発行上限がある希少性

・非中央集権の無国籍世界共通通貨

・生まれながらのインターネット通貨

・世界一セキュリティの高いブロックチェーン

などの価値を持っています。

 

そして、ビットコインの価格はゴールドと同じ市場原理が働いています。今後ビットコインは供給減は確定しており、需要増が予想されています。

 

 

今回の読書で、ゴールドの採掘コストという視点が一番学びが大きかったと思っています。

今後もゴールドと同様の価格メカニズムが働くのか、これからのビットコインを見届けたいと思っています。

 

 

 

この「中央銀行が終わる日-ビットコインと通貨の未来-」という本はかなりの良書だと思います。この本でメインテーマの中央銀行に関しても内容が濃いので、いつかブログで触れたいと思っています。

 

 

トムタ