「AI失業前夜」読書まとめ
トムタです。
前回の記事に引き続き、AI関連の本のまとめです。
今回は『AI失業前夜-これから5年、職場で起きること』という本を読みました。
印象深かった内容だけまとめます。
◆AIが仕事を奪う気配がない理由
本の中で一番興味を惹かれた内容です。
「なぜAIが仕事を奪う気配がまだないのか」という疑問に回答してくれています。
AIは知的労働であるホワイトカラーの仕事も奪うと散々世間では言われていますが、そんな気配が今のところありません。
多くの理由はありますが、僕が納得できた回答の一つは以下です。
「AIを支える大型コンピュータの台数が現時点では少なく、まずは自動運転と金融に集中してその貴重なコンピュータパワーを注入しているから」
詳しい説明に移ります。
信じられない話ですが、2011年になって初めてコンピュータの処理能力が人間と同等になったようです。(人間の脳は1秒間に1×10の16乗回の計算能力を持つ)
そして、2012年にGoogleが世界で初めて「自分で学習して猫を認識するAI」を開発しました。これはAIが自ら学習するという「ディープラーニング」という新技術であり、AIの世界では50年来のブレークスルーであったようです。
2011年にハードウエアが、2012年にソフトウエアが人間の脳に迫ってきました。こうして技術の発展があったことで、数年前からAIと騒がれ始めてきたんですね。
AIは膨大な計算処理を支える超高性能なコンピュータを必要とします。
しかし、現在でも人間の脳の処理能力を超えるコンピュータが世界中で数十台しかないようです。
そのため、数少ない貴重かつ高価なコンピュータを使ってAI研究するにはコストパフォーマンスが重要です。そこで、市場が大きい「金融」と「自動運転」という分野に集中しているというのが現状のようです。
当然、コンピュータの処理能力は年々上昇しています。15年前の世界最高性能のコンピュータは、現在ではプレイステーション4の処理能力と同等で10万円以内で買えるようになっています。
つまり、今後AIを支えるコンピュータの性能が上昇すれば、金融や自動運転以外の分野にもAI研究が波及していくということです。コンピュータの性能は追い付いていないですが、AI研究者は数多くいます。
この業界のスピードは恐ろしく速いので、あっという間に金融や自動運転以外の専門性を持つAI(特化型AI)が登場すると予想されます。
そして、2030年代には更なるブレークスルーがあった場合、汎用型AIという万能型のAIが登場する見込みもあります。
当然「フレーム問題」など他にも多くの問題点はありますが、ホワイトカラーの仕事がなくなっていくのは必然の流れだと思います。
本題に関しては以上です。
他にも、ベーシックインカムや現代の幸福論、日本の労働環境の変化、AI社会での日本の対応予想など興味深い内容が書かれています。今まで読んだAI本の中では一番バランスが取れている本という印象でした。
最後に、「じゃあ私達はどうしたらいいの?」という疑問への回答もちゃんとしています。
①AIを使いこなす仕事
→AIの勉強をする、AI商品を使うことから始める
②人間にしかできない仕事の能力を磨く
→コミュ力
③頭と身体を使う仕事
→AIに比べてロボットの発展はそこまで速くない。特に指の再現は難しいらしい。
④投資(特に転職をしない40代以降)
→今後、人的資本の価値が下がる。AIの発展によって儲かる仕事が減っていく。今のうちに金融資本を増やしておくべき
AIの研究投資資金を比較すると、アメリカのIT企業(Amazon,Google,Facebook,Apple,Microsoftなど)と中国が圧倒的です。日本の最先端企業の研究投資資金の100倍以上というから驚きです。
日本はAI後進国になる可能性は高いですが、ロボット工学においては先進国であるようです。
AIが世界を変えるイノベーションであり、将来のインフラであるならば、AI企業に投資するというのは正攻法だと思います。
ちなみに私はGoogle,Amazon,Alibabaに投資をしています。(確かAI投資額TOP3だった気がしてます)
AI企業に投資をすると同時に、AIやブロックチェーンなどの技術についても勉強を重ねていきたいと思っています。
前回読んだ本「AIで仕事がなくなるウソ」のまとめはこちらです。